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英国生まれのコーギー

2種類のコーギー

ウェルシュ・コーギーWelsh Corgi]には、ウェルシュ・コーギー・カーディガンCardigan]、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークPembroke]の2種類があり、同じグレートブリテン島西部のウェールズ原産の犬種で、形態・用途は似ているがそれぞれ独自に開発された。

カーディガンはペンブロークに比べ比較的大きく、丸くなった大きめの耳と狼のような流れた尾が特徴。ペンブロークは丸くなったとがった耳といくぶん低めの姿勢が特徴。

日本では一番ポピュラーで、皆さんが誰もが一度は見たことのある【ポッチャリ体系でお尻プリプリのコーギーちゃん】は、おそらくウェルシュ・コーギー・ペンブロークだろう。

コーギーとひとことで言っても、カーディガンペンブローク
2種類のコーギーがいることを知っておこう!

ペンブロークとカーディガン

グレートブリテン島へやってきた!

グレートブリテン島

カーディガンはダックスフンドが起源らしく、紀元前1,200年頃にヨーロッパ中央部からブリテン諸島へ移住したケルト人がウェールズのカーディガンシャー地方に持ち込み、そこで発展した犬と考えられている。

ペンブロークはカーディガンよりは新しい犬種で、スピッツ系の血統であることは明らからしいが、現在ふたつの説があるようだ。

1,100年頃にフランドル(フランダース)地方(オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)からウェールズのペンブロークシャー地方にやってきたフラマン人に連れてこられ、元々いたキャトルドッグ(牛追い犬)と交わって、スピッツような立った耳や尖った鼻を受け継いで現在の形になった説。

もうひとつは、北欧スウェーデンに外貌だけでなく低い姿勢で家畜を追ったり、かかとを噛む家畜誘導のスタイルがウェルシュ・コーギ・ペンブロークに似たスウェディッシュ・バルフンドと言うスピッツ系の牧畜犬種がいて、8〜9世紀頃にスカンジナビア半島に住んでいたヴァイキングが、スウェディッシュ・バルフンドをウェールズに連れて行った説。

起源には諸説あるが、カーディガンもペンブロークもグレートブリテン島ウェールズで生まれた犬

ウェルシュ・コーギーという名前はこの歴史からきており、当時のウェールズ語でウェルシュ(ウェールズ地方の)コーギー(ちっぽけな犬)という呼ばれ方が語り継がれているのだそうだ。

働く牧畜犬

ウェールズで人々と暮らしだしたウェルシュ・コーギー
工業化以前のヨーロッパの牧畜業は、主要な産業のひとつ。
草原や山岳地帯を中心とした牧畜は、常に外敵や強奪者たちの攻撃にさらされていた。

そこで人々は、犬の鋭い嗅覚や聴覚を利用して家畜の群を監視出来るよう長い年月を経て訓練し、服従性の高い優れた誘導能力を持つ牧畜犬に育てた。

当時の農場(牧草地)は現在のように柵などの境界がなく、自分とこの牛が敷地から出て行かないように見張り、また隣の牛が敷地に紛れ込んでこないようにする見張り番の仕事だ。

ウェルシュ・コーギーは、牧舎から牧草のある場所への誘導や再び群れにして牧舎にもどすなど、機械化する事のできない作業をなんなくこなす優れた牧畜犬。

群れを乱す牛や羊には吠えることで威嚇し、それでも従わない場合は、踵(かかと)を噛んだりして誘導していた。ウェルシュ・コーギーの低い体高は、足元を走り回って牛の反撃をかわす時にとても有利な体型なのだ。

“王室の犬” ロイヤルドッグ コーギー

牧畜に従事する人々の地位は決して高くはなく、その下で働くウェルシュ・コーギーが脚光を浴びる事はなかった。

王族や貴族に可愛がられ発展してきた鳥猟犬などに比べると、不遇な扱いに甘んじたウェルシュ・コーギー

そんな貴族階級のドッグショーとは無縁の生活を送っていたウェルシュ・コーギーだが、1920年代にイギリスにて純血種として認められドッグショーに初登場!

当時は、カーディガンシャー地方種(カーディガン)もペンブロークシャー地方種(ペンブローク)も同犬種として扱われ、外貌を向上させるために2犬種間での交雑がさらに盛んに行われていた。(起源の違うカーディガンとペンブローク。この2犬種がよく似ているのは、この頃に盛んに交雑されたことによるらしい。

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ところがこの2種類のコーギーの違いが、ドッグショーの審査トラブルを引き起こしたらしく、1934年に英国ケネルクラブ(The Kennel Club : KC)によって別犬種として登録。

この時に、カーディガンシャー地方を起源とする犬をウェルシュ・コーギー・カーディガン
ペンブロークシャー地方を起源とする犬をウェルシュ・コーギー・ペンブロークと呼ぶようになった。

またこの頃、ヘンリー2世(イングランド王)が宮殿でペンブロークをペットとして飼い始め、イギリスでの人気が沸騰しました。同じ頃、アメリカに最初のペンブロークが持ち込まれ、米国ケネルクラブ(AKC)で承認された。

20世紀にはヨーク公爵(後のジョージ6世)がカーディガンを宮殿でペットとして飼い、それまで名前の知れていなかったカーディガンも広く世間に知れ渡るようなったのだ。

そのヨーク公爵は、娘(現在のエリザベス女王2世)に遊び相手にとペンブロークを与えたことから、現在でもエリザベス女王はペンブロークを愛犬として大切にされている。

英国王室でペットとして飼われたことから、ウェルシュコーギーの人気は一気に高まり、今でも王室の犬【ロイヤルドッグ】ウェルシュ・コーギーとして世界に知られ、ロイヤルファミリーに愛され続けているのだ。

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